腎機能低下時のオグサワ。腎機能低下時の投与量を調べるサイトと書籍を紹介。

☑️はじめに

腎機能低下時の薬物の用法用量の妥当性をどんなソースで確認していますか?

わたしが日常業務で使っているサイトを紹介します。

オグサワ療法を例にして、腎機能低下時にどれくらい減量したらよいか考えて見ましょう。

☑️腎機能低下時の薬剤投与量を調べられる2つのサイト

①腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧

腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧 2019年4月1日改訂(32版) 日本腎臓病薬物療法学会

スピードが必要な業務中にも簡便に確認できます。

蓄積率とritschel理論で反復投与時の最高血中濃度を予測する。

☑️はじめに

半減期が延長している患者さんが薬を飲んだら、定常状態の最高血中濃度は何倍になりますか?

薬剤師あるあるの臨床疑問です。血中濃度が上がるのは予想出来るけど、でも何倍?だれかタスケテ…

この疑問に答えるのが「蓄積率」と言う概念です。半減期と投与間隔から表を見れば、公式の計算も不要です。

疑義照会や処方提案も、具体的な数値を示しながらだと、成る程と思ってもらえるはず。

薬剤師ならマスターしたい蓄積率。反復投与して定常状態になったときの最高血中濃度を予想出来るようになります✨

クラビット®️(レボフロキサシン)を例に取り上げました✨

それでは見て行きましょう✨

☑️Ritschel理論、半減期と投与間隔の持つ意味

薬が体から無くなるより早い間隔で薬を飲めば、体内濃度が高くなるのは直感的に分かると思います。

ある薬物を反復投与した場合、投与間隔(τ)を半減期(t1/2)で割ったものが3以下であれば、半減期の5倍の時間で定常状態に達します。

これをRitschel理論と言います。

τ/ t1/2≦ 3
τ : 投与間隔    t1/2 : 半減期

☑️薬学分野の蓄積率とは?公式で求められる、定常状態の最高血中濃度を予測する係数

この時、蓄積率(R)を使用すると、薬物の定常状態における最高血中濃度(Css.max)を簡便に計算することが出来ます。

R=1 / (1-exp (-kel・τ) )
 =1 / (1-exp (-0.693 τ/ t1/2) )

Css.max=R・Cmax

kel : 消失速度定数

詳しくは次に掲げる論文を参照下さい。

灘井 雅行 薬物動態の基礎と薬物投与設計への応用 日児腎誌 Vol.19 No.2 111-123

出典: www.jstage.jst.go.jp

公式を書きましたが、暗記する必要はありません。後で掲げる表を見れば、計算すら不要になります。

後、蓄積率の適応にあたって幾つか留意すべき事があります。

シンバスタチンとフルコナゾールは安全に併用出来ますか?

☑️はじめに

シンバスタチン(リポバス®)とカンジダ治療薬のフルコナゾール(ジフルカン®)は薬物相互作用がある

シンバスタチン5mg服用中の80歳女性に、フルコナゾール50mgが処方されました。これって併用注意…ですよね。

添付文書では併用注意、類薬のイトラコナゾール(イトリゾール®)は併用禁忌

ジフルカン®の添付文書はリポバス®を併用注意としています。

併用注意
(併用に注意すること)
6. 薬剤名等
HMG-CoA還元酵素阻害薬
 アトルバスタチン
 シンバスタチン等
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
機序・危険因子
本剤はこれらの薬剤の肝臓における主たる代謝酵素であるCYP3A4を阻害するので、併用によりこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。

出典: www.info.pmda.go.jp

一方、リポバス®️の添付文書はフルコナゾールの類薬であるイトラコナゾールを併用禁忌としています。

併用禁忌
(併用しないこと)
1.薬剤名等
イトラコナゾール:
イトリゾール
ミコナゾール:
フロリード
臨床症状・措置方法
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。
機序・危険因子
これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制される。

出典: www.info.pmda.go.jp


次に掲げる成書には、イトラコナゾールの併用でシンバスタチンのAUCが19倍に増加すると記載されています。1)

「これからの薬物相互作用マネジメント―臨床を変えるPISCSの基本と実践」
スタチンとアゾール系抗真菌薬の相互作用一覧(2014年1月現在)

出典: www.jiho.co.jp

AUC(area under the blood concentration time curve)は、薬物の血中濃度を時間で積分したもので、生体が利用できる薬物の総量を表します。一般に投与量に比例して増加します。

フルコナゾール併用により、シンバスタチンのAUCはどの程度上昇するのでしょう。併用注意と言うものの、いったい何に注意すれば良いのでしょう?

本記事は添付文書以上の情報を得る手順を紹介します。

インチュニブとクラリスは安全に併用出来る?CR-IR法による予測。

☑️はじめに

インチュニブ(成分名グアンファシン)服用中の児童にクラリス(成分名クラリスロマイシン)が処方された

インチュニブ錠1mgを服用中の児童(10歳、体重34kg)に、クラリス錠200mg 2錠 分2 朝夕食後 4日分が処方されました。

併用注意の記載があるため、処方医に疑義照会したところ、処方通りとの回答を得ました。

治療のメリットが勝ると判断されたのでしょう。

この併用は、どれくらい安全なのでしょうか?

☑️インチュニブとクラリスは併用注意

薬物代謝酵素を介した相互作用がある

グアンファシンは、CYP3A4で代謝されることが添付文書に書かれています。

グアンファシンを服用するのは学童期のお子さんなので、クラリスロマイシンの処方機会も多いと思います。

CYP3A4阻害作用を有するクラリスロマイシンを併用することで、グアンファシンのAUCはどの程度上昇するでしょうか。

インタビューフォームにも併用に関する詳しい情報がないため、既知の知見を統合することで、AUCの上昇度合いの推定を試みます。

PISCSを応用して併用時のAUC上昇率を推定する

PISCSのデータからクラリスロマイシンのCYP3A4に対する阻害率(IR)は0.88、一方ケトコナゾールのIRは>0.9と考えられます。

類薬のイトラコナゾールのIRは0.95であるので、これを流用してみます。

基質のAUC上昇率=1/(1-CR・IR)